拗ねたようにそう吐き捨ててやれば、彼は一瞬驚いたように目を見開くと。次の瞬間には困ったような笑みを浮かべて自身の冷たい指で私の頬を優しく撫でた。
私のブーツと同じ、ダークブルーの双眼が私を真っ直ぐに射抜く。
心臓が暴れているのが分かる。なのに、彼と視線を合わそうとする私の脳はやけに落ち着いていて。
矛盾な己の体の一部が怖いと感じる。
彼は、スと瞳から色を消すと。
綺麗に、妖艶に、凄艶に微笑み声色甘く囁いた。
「傷付いて泣いても、知らないよ?」
挑発的とも受け取れるその笑みに、私も口角をゆるく引き上げ笑い返し。
「上等よ。」
そう言ってやれば、彼は声を上げて愉しげに笑いくるりと踵を返した。
視線の端で、彼が纏う黒装束の着物が揺れる。


