お昼時には車の交通量が多いそこも、深夜となれば滅多に人は通らない。
―――私が今居るのは、国道の上に架かるまあまあ大きな歩道橋。
階段を上りきり、周りを見回すが私以外の生物の存在は感じられない。
…今日はいないのかもしれない。
ふう、と溜め息を吐くと同時に視線をブーツの爪先へと下向させた―――――――――その時。
「まーた来たんだ?」
「ッ、」
静粛なそれを切り裂く、澄みすぎた純水みたいな声。勢い良く持ち上げた視線が捉えたのは、声同様に透明で。儚いとさえ感じてしまう肌。
その顔に並ぶパーツすべて、゙この世のものとは思えない゙程の美しさ。
まさしく美青年と呼べる容姿をもつ彼は、呆れも孕ませた微笑を私に向けている。
どきり、胸が高鳴る。