時刻は丑三つ時。

草木も眠る静粛な時間帯、物音はおろか虫の鳴き声すら聞こえない。


私は暗闇でわざと異質として目立つよう、白のコートを羽織り外の世界へ抜け出す。




ダークブルーのレースアップブーツは先日お小遣いで購入したもの。以前から目を付けていたそれは私が買ったのがラスト1点だったらしくお気に入りだ。



ヒールの高さも3センチと、そこまで脚に負担はかからない。


カツリ、カツリと気分高々にヒールの音を鳴らして歩く。

閑静な住宅街に響くそればかりに気を取られて歩を進めていれば、気付いた時には目的地の前で足を止めていた。




20段ほどの階段が視界に映り、その上にかかる゙そごにはまだ彼の姿はない。


私の方が早かったのだろうか…?若干沈んだ気分を無理矢理浮上させて、階段を上っていく。