Poison【短編】




と。


ファミレスの入り口が見える辺りまで小走りで駆け寄った俺の目に留まるのは、入り口前で佇むミルクティー。


あ、正しくはミルクティー色の相変わらず柔らかそうな髪が風で揺れるのが目に入ったのだけど。


もし本当にミルクティーが入り口前にあったらただの奇っ怪でしかない。




スピードを落とした俺はゆっくり、ゆっくりとその明るめの綺麗な色へと歩み寄る。

近付くにつれて髪に隠れるようにして見えなかった小さな顔が見えてくる。長い睫毛は伏せがちに自分の足下を映しているようだ。



そして。




「愁。」

優しくその名前を冷たい外気に刻みつける。


弾けるようにして持ち上げられた顔にある大きな瞳はすぐに俺を捉えた。瞬間、ぱっと花が咲いたように感じる笑顔が俺を包む。冬の筈なのに、可笑しいよな。



「杉山さん。」


俺を読んでくれる声に、愛おしい気持ちは溢れて止まない。




「愁、家とか、関係ないから。」

「……、」

「結婚して?」


店長、結婚式来てくれるって。青と茉希ちゃん、幸せになれよ。


そして、愁。



お前は、俺がこれから幸せにするから。