リビングでは純さんが缶ビール片手にまだパソコンと睨めっこ中。

珈琲でも淹れようとキッチンへと向かう私。暫くすれば、部屋には珈琲の香ばしい香りがしていた。


「珈琲、どうぞ。」


コトリ、キーボードの横へ置いたマグカップ。純さんはチラッとそれへと視線を向けると、深く息を吐き出した。


「ああ、ありがと。」



そっと綺麗な指がマグの取っ手にかかり、ゆっくりとした動作で口に運ばれた。その動きがやけに色っぽくて、ついつい見とれてしまう。

と。

純さんは私へと瞳を向け、マグを机の上に置き酷く艶やかな微笑みを浮かべ近寄ってくる。



私の前まで歩み寄った純さんは、その細く綺麗な指を私の後頭部へと回す。

少し腰を屈めて私と視線を絡ませる純さん。端正な顔を武器に、笑うもんだから心臓がオカシクなりそうだ。



「ナニ見てんの?」

「べ、つに…!見てません。」


何故か睨んでしまう私をただまっすぐに見つめる純さん。