Poison【短編】




頬に触れる低体温。男のくせに細いと思っていた指は、触れてみれば骨ばっていて男を実感させられる。

ドキリ跳ねた心臓の音が、瞬さんにまで聞こえそうで胸が暴れ狂いそうなんだけど…。



「直ちゃん、て。僕のこと好きなの?」

「…っ、」

「君のサイン、その顔から受け取ればいい?」


その顔、とは……。

「真っ赤」と言われたことで、さらに体の体温が上昇した気がするのは気のせいか。いや、気のせいなんかじゃない。


瞬さんといる時は、いつだって体が熱い。まるで、優しすぎる毒にじわりじわりと浸蝕されていくように…だ。



「ねえ、答えてよ。」

「しゅ、んさん…は?」

「僕?僕は君に一目惚れだから、心配しないで。」


…さも当然のようにそう言ってのけた瞬さん。

嗚呼、なんて、危険な人だろう。気付かなかったではないか。


するり、撫でられた首筋。くすぐったくて身を少しばかり捩らす私の耳に届くクツリと喉を転がすような音。