Poison【短編】




「直ちゃん用に、入荷しといたよ。」

「わざわざスミマセン。」

「いえいえ。」


彼は、綺麗な指でそっとそれを紙袋に入れる。

と。
突然「あ!」と大きな声を出すから驚いた。ゆっくり顔を見上げると、彼は閃いたと言わんばかりに微笑む。


「これ、僕がプレゼントするよ。」


財布にかかっていた手を止め、数回瞳を瞬かせる。



「い、いいですよ…!」

「遠慮しないで。ピアスのお礼だし。」

「だって、これ高いですし、ピアスは私が勝手に贈っただけですし…、」

「僕は君より年上ですよ?お金の心配はイリマセン。」


でも、と続ける私の頭に大きな手が乗る。それは私の髪をくしゃっと乱すと。

「僕が贈りたい。だから、いいよね?」そう言って悪戯に笑う彼。



「…瞬さん。」


私は、キュッと結んだ口をゆっくり開き、呟くような声で彼の名前を呼ぶ。彼…、瞬さんは、ん?と微笑み首を傾げて見せる。