Poison【短編】




反抗を口にした私に、宙さんはそれは楽しそうに微笑みを浮かべたのだ。

…が、気付いてしまった。


「(瞳が、…笑ってない。)」



宙さんは私の背後に肩肘をついて屈むと、振り返って瞬時に逸らした私の顔を覗き込んだ。

瞬間的に、私の体が強張る。


――…至近距離は、苦手。宙さんの艶やかな微笑が張り付けられた、端正な美顔が鼻先2センチの距離にあるから。



「゙いや゙?」

「そ、ら…さん…」

「俺の言うことが聞けないの?」

「、だって、」

「口答えするき?」


……だって、貴方に捕まれば、私はもゔ宙゙という鎖に縛られ゙宙゙という毒に犯されてしまう。

この家の娘だから、長女だからという理由で、貴方に愛され捕まるのは絶対に嫌。




彩耶という、ひとりの私を愛して欲しい。




「彩耶、早く入りなさい。」

「……。」

「勝手は許さない。」

「…大嫌い…ッ、」