ちょうど、二つの刃が同時に向かってくるとレインの剣は力一杯に対抗した。
反動で剣を落とすも僅かながら威力を相殺したことで余裕が生まれる。
彼女は懐からなにかしらの布を取り出し、左手に嵌めた。
革製の黒い手袋、甲の部分には紋章が描かれている。
「『造れ』!」
唱えた呪文はあまりにも単純。
しかし地についた左手は蒼く光り地中から突き上げてきたように蒼い岩らしき突起が生えてくる。
氷だ。
次々と突き上げる氷は一直線にクラウンに向かう。
「厄介な…」
剣ではとても切れまい。
足元からの氷を身を翻して避ければ、いつの間にか氷山に囲まれている。
あとは、彼女の命令次第。


