レインは、その執事を見て不愉快そうに眉間に皺を寄せた。
「あまり女扱いしないでいただけますか。
紳士な姿勢は素敵ですが、こういう仕事をしてる女には冷やかし以外の何物にもなりえませんから」
「そうですか…それは失礼を」
軽く腰を折る執事。
その余裕綽々な態度が余計にレインに火を点ける。
遊ばれている、としか思えなかったのだ。
さっきから目の前の男には隙がありすぎて、まるで「ほらおいで」とでも言われているかのよう。
無論、クラウンにはそんな気は微塵もない。
屋敷を汚す前にこの招かざる客に退散してほしいのだ。


