「……あっ」



「どうしました?」



「朝のお仕事忘れてたっ」



そう言っておんこは玄関の横にかかっている『準備中』の札に手をかける。


それをくるりとひっくり返すと『営業中』の文字が現れた。


そして、その脇には手書きで『人外、半妖何でもござれ。どんな依頼でもお引き受けいたします。』と書いてあった。



「その札、いいですよね」



高崎がぽつりと呟く。



「うんっ!『五十嵐工務店』って感じだよねっ」








――ここは『五十嵐工務店』。




――世界でも類をみない人外専門の大工屋。












***********

「そういえば、おんこ嬢。今日の袴は秋仕様ですか?」

「っ!!……そ、そうっ!秋になったからどうかなっってっ!!」

「とてもお似合いですよ」

「…………あっ、ありがとうっっっ!!」

***********










――五十嵐 おんこ的朝事情、終わり――