「……あっ」
「どうしました?」
「朝のお仕事忘れてたっ」
そう言っておんこは玄関の横にかかっている『準備中』の札に手をかける。
それをくるりとひっくり返すと『営業中』の文字が現れた。
そして、その脇には手書きで『人外、半妖何でもござれ。どんな依頼でもお引き受けいたします。』と書いてあった。
「その札、いいですよね」
高崎がぽつりと呟く。
「うんっ!『五十嵐工務店』って感じだよねっ」
――ここは『五十嵐工務店』。
――世界でも類をみない人外専門の大工屋。
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「そういえば、おんこ嬢。今日の袴は秋仕様ですか?」
「っ!!……そ、そうっ!秋になったからどうかなっってっ!!」
「とてもお似合いですよ」
「…………あっ、ありがとうっっっ!!」
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――五十嵐 おんこ的朝事情、終わり――