思い返してみれば、私達の生活は普通では無かったのだろう。
あの頃は全く考えもしなかったけれど。
生きるので精一杯だったあの頃。
その原因はやっぱりこの奇妙な体質で。
人間としても、人外としても生きられない私達は逃げてばかりだった。
ヒトの土地を踏めば化け物と罵れられた。
でも、ヒト以外の土地を踏めばヒトの匂いがすると殺されそうになることもあった。
両親だけならば難なく乗り越えたであろう小さないざこざも、幼い私達を連れて収めるのは大変そうで。
だけど一時でも私達を受け入れてくれた心優しい人が人間にも人外にもいた。
それだけを救いに、いつかずっと住める土地を求めて世界中を旅していた。

