奇怪な面々の日常な朝事情!




――「いくよ」



するりと耳に入るその声。


聞き慣れたその声を合図に双子は弾かれたようにバラバラな方向へと逃げる。


母親はその行動にますます笑みを深めて、獲物を狩る獣の如く地を蹴った。






獣が視界に捕らえるのは。






――長い白髪。






ギリッ!


歯を砕きそうなほど力の入ったことがわかる音。


姉は更にスピードを上げる。


しかし、無情にも縮まる二人の距離。




獣は既に表情は無く。


獲物は祈るように目蓋を閉じ。




その時はやってきた。


獣は獲物を仕留めるためにその腕を伸ばし――










「あ……」










止まった。


完全なる停止。


獣は歩みを止め、獲物は奇跡的に助かった。



「忘れてた。ごめん、最初に聞かなきゃいけなかったこと忘れてた!
……二人とも、そのままで良いから答えて」



双子は困惑しつつも移動を続けながら母親の声に耳を澄ませる。



「あなた達が強さを求めるのは何のため?」



シンプル、一言で終わらせることのできる質問。


しかし、単純だからこそ意味のある質問だった。