こんな朝早くに走っているのには当然理由があるわけで。



「だんだん間に合わなくなってきたんだよねっ」



そう、天神学園の規格外な力を持つ生徒が壊す校舎を全て直して回っている『五十嵐工務店』。


そこの娘であるおんこがこき使われないはずもなく、毎日勉強よりも校舎を直している時間の方が長い始末。



――それでも去年まではなんとかやってこれたのだ。



しかし、今年の一年生はスペシャルバカを筆頭に物を壊すのが趣味なのかと疑うほどに壊しまくる。


その全てを直そうとすれば、校舎を右へ左へと全力疾走。


体力の限界まで走ってもまだまだ仕事は残っていたりする。


そこでおんこは朝早くから走る事にしたのだった。


効を奏したのかこの頃は家に帰ってから工務店の仕事を手伝えるほどになった。



「結果オーライっ!!」



おんこはにっこりと笑いながら足を止め、高い空を見つめる。


そしてゆっくりと家路をたどり始めた。


――現在時刻、午前5時15分。