「そうと決まれば、早速着替えて地下演習場に集合!5分後ね。はい、すたーとー」



うげっと顔を歪ませて全力で階段を駆け上る双子。



「さて、と。改築した意味あったみたいねー」



一人残った母親は、語尾に音符でも付きそうな口調で独り言を呟きながら壁を叩く。


すると何の変哲も無いはずの壁が音もなく左右に割れて、隠されていた階段が姿を現す。


母親は楽しそうにその階段を降りていくのだった。





――5分後。






「二人ともぴったり5分でかえってきたねー、えらいえらい」



ケロッとしているのは母親ただ一人。


後の二人は屍のように床に這いつくばっていた。


と言うのも、何を隠そう地下演習場は地下5階相当の深さにあり、如何に人外であろうとも全力疾走で駆け下りるのは難しい。


二人が体力不足なのではない。


二人の母親が規格外なのだ。



「それじゃあ、今日は稽古初日というわけで模擬試合、いってみようか!」



「模擬試合?」



「二人とも久々の手合わせだし、正直どのくらいの力で戦ったらいいのかわからないのー。間違えて骨でも折っちゃいそう」



ぐったりと床に伏せたまま二人は母親に骨を折られるところを想像した。


……簡単に想像できたところが悲しい。



「模擬試合だから、ハンデ付けるね。あたしは爪出さないからせいぜい頑張ってー」


ひらひら手を振る様子はとても17歳の(以下略)