「あたしが説明しよーか?」
「お母さんは黙ってて。私と妹の問題だよ」
「はーい」
楽しそうに傍観する母親、瞬きもせずに妹を見つめる姉、うつむく妹。
リーニアは言葉を発しないが、返ってそれが怖すぎる。
その無言の圧力に耐えかねて妹が重い口を開く――。
「――稽古を、頼んだ」
驚きを隠すように一つゆっくりと瞬きをして、リーニアは妹に続きを促す。
「母様に、稽古を、頼んだ。
――強く、なりたくて」
苦しそうに吐き出された最後の言葉は、空気に混ざって聞こえなかった。
それでも、リーニアは理解した。
「だから、私を起こしたの?」
にっこりと微笑む母親に問うてみれば、緩やかに首肯が返ってきた。
「そう、だよね。うん。……わかった」
「なにがわかったの?あーね」
「お母さん、私も稽古に参加する。妹と一緒に稽古受けるよ」
ぱくぱくと口を動かしている妹は可愛らしく、リーニアにとって失うことのできない存在。
母親はきっと、こうなることを予測していたのだろう。
だから、暖かな眼差しで二人をを見るのだ。

