「全部言ってよかった」
「これからは何でも言ってや」
「うん」
「田辺に返事したん?」
「あ、まだ」
「早くしないと」
「うん」
私がトイレに行こうとすると
「もう隠す必要ないやろ」
「どうどうとして良いねんで」
「うん!」
プルルル
受話器の奥で小さく鳴る音
それが田辺の声にかわる
“もしもし”
「あ、田辺?」
“うん”
「返事やねんけど」
“お、、おう”
田辺の緊張が伝わってくる
「よろしくお願いします」
“え?それって”
「私も好きやで」
“え、やったぁ”
受話器の奥ではしゃぐ声
愛しい
「田辺のこと好きになってよかった」
「もう田辺って呼ぶんじゃないやろ」
みんながひやかす
「好きになってよかった、優烏のこと」
“おれも!幸希のこと大好き”
多分いま私の顔は真っ赤だ
今わたしはすごい幸せ
大好きな友達に囲まれて
大好きな人と同じ気持ちになれて
