詐欺師の執事と嘘つきな私。



こんな奴に抱かれるなんて想像しただけで吐きそうになる。
死んだ方がマシだ。

「き、綺麗な肌だね。へへへ」

不細工の手が私の胸に触れる。
帰ったらアルコール除菌確定だな。なんて悠長な事を考えている場合ではない。

本当にマズい。

と、ちょうどそのタイミングで乾いたノックの音が部屋に響く。
どうやら私の願いは届いたようだ。

「すいません。お荷物を届けに参りました。」

「…はぁ。勝手に入ってくれ!」

ドアの向こうから男の声が聞こえ、社長はため息をつきながら叫んだ。