詐欺師の執事と嘘つきな私。







『…ですから、社長とはアポを取って頂いてからではないと…』
『1億6000万円で落札された絵画は…』
『会社の方はとてもそんな余裕がある状況ではないという噂が…』

非常に騒がしい。

「…社長に会うの結構難しそうね…」

オークションの情報を耳に入れたのか、ビルの受付にはマスコミが殺到している。

あのくそ執事は結局私を残し帰って行った。
今晩全力で殴ってやろう。

「社長にどうやって会おうかしら。この調子じゃいつまでたってもマスコミが…痛っ!」

独り言を呟きながら一旦トイレへ向かう私は何かにぶつかった。

「大丈夫かい君。すまないね…」

そこには目的の男が立っていた。