「それではあの男のもとに行きましょうか。」
「…は?今から?」
きっと今執事の方に振り返って大きく口を開けている私の顔は、思春期の女の子のそれとは程遠いものだろう。
ひどい間抜け面なはずだ。
「はい。今からこの車で。あの男はある企業のトップでして、なんでも大層なロリコンという噂が…」
「ちょっと待って。私をそんな男の所に行かせるつもり?」
「もちろん私がお嬢様をお守りいたします。お嬢様には絵画の場所を探って欲しいのです。よろしくお願いしますね。」
今私の手に凶器の類いがあるならば、目の前の執事を亡き者にするだろう。
車はいつの間にかあるビルの前で止まっていた。


