詐欺師の執事と嘘つきな私。






「それで?説明は?」

車内に戻った私は執事に問い掛ける。

「今回のオークションでの目的は落札金額を引き上げる事だったんです。お嬢様の本当のお仕事はここからですよ。」

「どういうこと?」

「絵画を落札した男に近づいてもらいます。」

はぁ。
どうせそんな事だろうとは思った。
結局私の役なんて毎回こうなのだから大して驚かない。

心の中の不満が彼に届けと願いながら窓の外を眺める。