詐欺師の執事と嘘つきな私。



「落とせなかったの!あんた何やって…」

「静かにお嬢様。あまり騒ぐのは女性らしくないですよ。それとあの絵画は、落とさなかったのですよ。」

私の口を遮るように指を付け彼は言った。

「どういう事か説明してくれる?」

こいつは結局私に無断で仕事を進めていく。
本当に腹が立つ。
これが父だったら無条件で殴るだろう。

「そのお話は帰りの車内で。」

私たちは足早にホテルを後にした。