執事の言った通りステージ上に最後の品が出てきた。
「あれがお目当ての絵画ね。」
「えぇ。お嬢様は黙って見ておいて下さいね。」
そう言うと、彼はなにやら手を動かしている。
知識のない私にはわからないが、金額が上がっていっていることだけは理解できた。
この男に出来ない事はないのだろうか。
少なくとも今までそんな姿は見たことがない。
「終わりましたよお嬢様。さぁ帰りましょう。」
そう言って彼は私の手を引き人混みに入って行く。
いつの間にかオークションは終わったようだ。
「ちょ、ちょっと!絵画はどうしたの?」
「落としましたよ。あそこの男が1億6000万円で。」
彼の視線のさきには小太りの、いかにも金持ちというような男がいた。


