詐欺師の執事と嘘つきな私。




「本当に性格悪いわね。そうやって私のことからかって楽しい?」

空を切った右手を戻し、舌打ちの余韻が耳に残る中、執事に問い掛ける。

「えぇ。お嬢様は本当にイジメがいがありますよ。反応が凄く可愛いですしね。」

「…気持ち悪い。」

可愛いなんてこいつのキラキラした笑顔で言われて、照れない女が居るのなら目の前に連れてきて欲しい。
全力の照れ隠しで悪態をつく私の心も見透かすような眼差しは、本当にずるいと思う。