お嬢様は家出少女




だから、合宿のパートナーがこいつだってわかった時、正直嬉しかった。

俺にきゃーきゃー言わないし、こいつのことを近くで観察できるなって思ったから。


こいつとは、偶然が多いよな。


でも、いつも男友達としか話さない俺にとって、こいつとどう接すればいいのか、全くわからなかった。


それが不機嫌そうに見えたのか、俺といる時、こいつはずっとびくびくしていた。

別に不機嫌でもなんでもないし、そんな態度をとらせるつもりは全くなかったんだけど。



そして今、他の女とは違うこいつのふいんきからして、肝試しなんて楽勝なんだろうなって思っていたが、このありさまだ。


瞑られている目には涙がたまっている。


いや…、でも、まだなにも出てきてないぞ?

だから、そんなに怖がらなくてもいいのにな。



その時。


―ピトッ。

「きゃああああ!」


悲鳴とともに、岸山が俺の腕に抱きついてきた。


悲鳴の原因は、こいつの首もとに当たったこんにゃくのようだ。

こんにゃくが吊り下げられている糸をたどると…。


「なんだ、お前かよ」

「えっ、拓也! じゃ、じゃあ、パートナーが拓也ってことは、俺がこんにゃく当てたのって…」

「岸山だ」

「うっそ、岸山!? だ、大丈夫!? ごめんー!」


同じ1年のやつだった。


でも、なんでこんなに岸山の心配してんだ?


「こいつは怖がりなだけだよ。なんでそんなに心配してんだ?」

「だって、俺は美人な岸山をこんなめに遭わせたんだぜ!? 男失格だあー!」

その言い方って…。

「じゃあ、他のやつだったらそんなに心配しないのか?」

「当ったり前じゃん。他のやつが怖がったら、『やったー、成功ー!』って思いっきり喜ぶよ」

けろっとした顔でそんなことを言うから、なんかムカついた。

いや、でも俺、なんでムカついたんだ?