―拓也side―
…いいかげん自分で歩けよ…。
肝試しに出発してから、もう20分はたつのに、ずっと目を瞑ったままだし。
歩こうとしないから、俺が引っ張らないと前に進まないし。
…よっぽど怖いんだな…、こういうのが。
俺の隣を、目をぎゅっと瞑って歩く岸山を見て、ため息をつく。
俺は、基本的に女が嫌いだ。
きゃーきゃー言ってうるさいし、しょっちゅうまとわりついてくるし。
中学まではそんなことはなかったんだけどな…。
高校に入って、女どもに囲まれる日々が始まった。
ほんと、人の迷惑も考えずによ…。
こいつが編入してきたのは、そんな毎日にうんざりし始めていたころだった。
ずいぶんと容姿端麗なやつが来たなーと思った。
他の女と比べても、その容姿はずばぬけていた。
芸能人のような容姿は、かわいいというよりキレイという感じだった。
でも、こいつもきゃーきゃー言うのかなって思ったら、なんだか悲しくなった。
実際、こいつが来るまで、このクラスで俺にまとわりつかない女は1人しかいなかった。
だから、こいつもきゃーきゃー言うのかと思った。
でも、それは俺のうぬぼれにすぎなかった。
こいつは、まとわりつくどころか、俺と目が合うことすらなかった。
それに、こいつが仲良くなったのは、俺にまとわりつかないもう1人の女だった。
しかも、こいつは俺と同じで寮から通っていて、部屋はなんと隣だった。
いろんなことにおいて、おもしろい女だなーって思って興味を持った。
