お嬢様は家出少女



肝試しは、近くの山で行われることになっていた。

夜の山はそりゃあもう不気味で、わたしの恐怖心をさらにかきたてた。


みんなで山のふもとに行った。


でも、あれ…?

山に着いて周りを見渡すと、何人か部員がいないことに気が付いた。

どこに行ったんだろう?


そんなことを思っている間に、みんなはどんどん肝試しを始めていたみたい。

あっという間に、わたしと松崎の番がまわってきた。

「じゃあ、行ってらっしゃーい!」

ああー、もう無理なのに!


行きたくないー!

ずっと歩き出さないでいたら、松崎が顔を覗き込んできた。

「なにやってんだよ。早く行こうぜ」

無、無理無理!

それに、そんなにじっと顔見ないで!


まだ歩き出さないでいると、松崎がわたしの手を掴んだ。

「!」

驚くわたしをよそに、松崎はそのままずんずんと前に進んでいった。


暗い山は本当に怖くて、わたしは自分で歩くなんて考えられなかった。

それがわかったようで、松崎もずっと手を掴んだままだった。

怖くて何も見れなくて、ぎゅっと目を瞑った。








気が付くと、わたしはホテルの自分の部屋のベッドで寝ていた。

起きても、部屋にはわたししかいなかった。


どうしてここにいるのか、思い出そうとしても、目を瞑ってから今までのことが全く思い出せない。

…怖さで記憶がとんだのかも。



…ただ…。


いろいろと、ありえないことをやらかした…。


…そんな気がしてならなかった…。