お嬢様は家出少女


「…り」

ばかなことを考えるんじゃないぞ、綾。

「…織」

うんうん。

「実織!」

「はい!」

「ちょっと実織ー。次、あんたの番! 後ろの人が困ってるでしょーが。さっさとくじ引きな!」

「え…、あ…、みんなごめん…」

ひえー、すっかり自分の世界に入ってた…。

そんな状態で、何も考えないままくじを引いたのが悪かったのかも。


くじが入った箱の穴に、手を突っ込む。

あれ、あと5枚くらいしかくじが残ってないや。

少ない枚数の中から、てきとうに1枚のくじを選んで取り出した。


「実織さーん!」

わたしの1つ前で引いたらしい理沙が駆け寄ってきた。

「もう、中は見た?」

「えっ…、まだだけど…」

「わたしもなんだー! 一緒に見ようよ!」

「あっ、うん…」

理沙に言われて、わたしと同じで、まだくじの中を見ていない理沙と同時に中を見ることになった。

「よーし、じゃあ見るよ? せーの!」

そして、同時に開かれた2枚のくじ。