お嬢様は家出少女


「あ…」

その人は、あのおとなりさんだった。

「え…、あ…」

「…」

おとなりさんは、わたしに向かって無言でボールを投げると、自分の練習に戻っていった。

「バスケ部の…、先輩…?」

いまだに正体不明のおとなりさんの背中を見ながら、そんな風に推測した。