お嬢様は家出少女


「あ…」

「ごめーん! 力入れすぎちゃったー!」

「わたし、取ってくる!」

「ごめーん、ありがと!」

転がっていくボールを追いかける。

「待ってー、ボールー!」

ころころと転がって、男子バスケ部のほうにいったボールは、ようやく誰かの足に当たって止まった。

「すいません! そのボール、こっちに投げてもらえますかー?」

その誰かに声をかけた。

ボールを取ってくれたその人が、顔をあげた。