「僕は、ひとつでも多くの魂を混沌から救うために…。それなのに、あなたときたら…。」

井上は、はぁっと大きくため息をついた。

「いいですか。生きるということは、儚く、か弱い。けれど、どんなものよりも尊く美しい。」

凛とした井上の声が、深夜の公園に響く。

「あなたは、生きるということの本当の歓びを知らない。その歓びを、輪廻の環に戻り、再びこの世に生を受けることの素晴らしさを、僕が教えてあげます。」


井上は、胸元から、紙と万年筆を取り出した。