しかし相手方も容赦しない。それどころか女相手にむきになり始めた。
正面からの攻撃を指で挟み止める。
そして背後の奴を回し蹴りした。
なんだたったこれだけだったのかよ。
渚は辺りに倒れている男を見て鼻で笑って歩き出した。
影で誰かが見ていたことも知らずに。
……
渚はここで初めて辺りの景色が可笑しいのに気が付いた。
周りには木造の平屋しかない。
ビルもなければ二階建ての家すらない。
私は何処へ来てしまったのだろう。
天国だ…
いや地獄かもしれない。
でも死んだのは確実だ。
やっぱり生きてはいなかったんだな。
小さくため息をついた。



