小さい頃から人を疑い生きてきた渚にとって、自分の身は自分で守ってきた。
今のもその一つ。はじめて知り合った人を半径一メートル以内に入れられない。
辺りの気を読めるようになったのも、過剰な人間不振からだった。
「今の私に近付くな!」
今はそれだけしか言えない。
これ以上近付かれたら…
「そんなに怖がらなくても大丈夫。」
―ポン
近藤が渚の頭に手をのせたとたん、
―ビシ
その手を渚は払い飛び退いた。
「どうした渚。そんな恐ェ顔して。」
「近付くな!今近づいたら、どうなるかわからない。」
「どうなるんだい」
近藤がジリジリと近づいてくる。



