「まあまあ。土方さんが言い出しっぺですからね。」
土方は男を睨んだものの、諦めたように小さくため息をはいた。
「総司に言われちゃー仕方ねー。屯所で話を聞こうじゃねーか。」
渚は立ち上がり土方について歩きだす。
「なー。屯所ってここからどれくらいだ?」
渚は隣を歩いていた男に訊ねた。
「そうですねぇ。もう少しかかりますかね。」
土方に総司と呼ばれた男は答えた。
「マジかよ。ありえねーだろ。なあ…沖田総司だろ。」
「私のことも知っているんですか。」
「ああ。未来ではあんたたちは有名だよ。」
「へぇ。私たちが有名になるんですか。」
沖田は無性に嬉しそうな顔で言った。
「そういえば、今日は何月何日だ?」
「9月25日ですよ」
9月25日っていったら壬生浪士組が新撰組に改名した日である。渚も同じことを考えていた。