男は満面の笑みで渚にてを伸ばした。そこまで腹が減ったのか…。と渚は呆れた。

しかしよく考えれば渚もお腹がすいていた。

「さあ行きましょう」

「ああ」

渚は差し出された手は取らずに立ち上がり頷いた。

横を向くと黒髪をなびかせて男が歩いている。

不思議ではないのだろうか?と渚は思った。

この時代に自分のような赤髪の女はいない。それなのにこの男はその事には触れなかった。

気をきかせてくれたのか。いや。後から聞かれるのかもしれない。

団子を食べ終わった後に。何もかも。

沈んでいく自分の心に、自分らしくない。と言い聞かせて。

楽しそうに歩く男の後ろをついていった。