「この箱といいその服装といい。あなたは何者ですか?」
見逃してくれるとは思っていなかった。いつかは聞かれると。
しかしこのタイミングで聞いてくるとは。油断していなかっただけ良かったと思った。
「長州の者ですか。」
「いいや。と言っても信じてはくれないだろうけどな。」
「まあ確かに。長州の者が自分の身元を明かしたりはしないでしょうね。」
男は少し考えてからなにか思い付いたように、ポンっとてを叩いてた。
渚も何を思い付いたのか知りたく、男の顔を覗き込んだ。
「お団子食べに行きましょう。お腹がすいては…なんとかって言うじゃないですか。」
「なんとかってなんだよ。戦もできぬ。だ。」
「ああ。確かにそんな感じでしたね。まあなんでもいいんです。」



