建物だけではなかった。
歩いている人はみんな着物を着ている。
ちょんまげや時代劇に使う桂のような頭、腰には…
本物だなあれは。渚は凝視した。私ですら触ったことがない。と、バカなことまで考えてしまう。
そんなものを普通に腰から提げている。
なんなんだよ。何処なんだよ。
渚は呆然と立ち尽くしてしまった。
どのくらいそこに立っていたのか分からない。
でもさっきから渚は通りすぎていく人にガン見されている。
まああの人たちから見れば渚の格好は可笑しいだろう。
なんせ制服だし、ミニスカートだし…
ブレザーなんか背中に大きく『喧嘩上等』って刺繍までしてある。その上から膝まであるだろう、白い特効服を羽織っている。背中には『雷雨』。
さてと格好の説明はこれくらいにしとこうか。
渚はそばに倒れている←自分が倒したんだけどね。
男の腰から刀を抜き取った。



