キレイをつくる保健室


ゆり先生の指先が細やかに動いて、あたしの肌にクリームが塗られていく。


「ぐふっ」

そのくすぐったさに吹き出して、ゆり先生になだめられた。

「じっとして」


鏡の中のあたし……みるみるうちに化けていく。

化粧ってスゴイんだ……。

知らなかった世界に、ゴクンとのどが鳴る。



「ナミ、メイクすると輝くね」

ヒロが背後から鏡をのぞき込む。鏡の中のあたしと視線を合わせて微笑むヒロ。


……ブルーの瞳の美しさといったら…


「キレイなのかな? ほんとにあたし…」

ヒロと並ぶと自信なくなる……。



「何、言ってんの!」


はっ…、ひさびさの、ゆり先生の喝が入る!


「これからが腕の見せ所よ」


ゆり先生の手にはペンシル。


「ち…ちょお!」

「ウルサイ!!!」

また怒られちゃった……だって、あたしの目のまぶたを押さえるんだもん。


「アイラインを引くと顔の印象がグッと色っぽく変わるわよ」