ああ、首元から耳たぶにかけて、そんなに触らないで…。
ボブカットの髪にヒロは指を通して、あたしの耳元でささやく。
「ナミの耳から首、鎖骨にかけてのライン、好きだな」
……ボン!あたしだけに聞こえる爆発音でして、頬が熱くなる。
顔をよせないでください。その綺麗な青い瞳と長いまつ毛。
もう、保健室としての機能はどうなってるの、て感じ。
保健室で男性教師が女子生徒を口説いている……。
しかも、保健室の教師はそれを承認している…て。
ゆり先生は、また美人つくりに刺激を受けたようだ。
「せっかくだし、顔メイクしちゃいましょうか」
メイク? したことないんですケド。
きょとんとした、このベビーフェイスにメイクしても、変わるとは思えんのですが。
「ナミ、あなた自分はメイクで変わりっこナイと思ってる?」
「…ちがうんですか?」
「早速、メイクをしましょう」
ゆり先生はコットンを大量にもってきて、あたしが見たことも、使ったこともない化粧下地クリーム、ファンデーション、チーク、アイメイクのパレットを棚から持ってきた。


