雨宮邸の礼拝堂の前に、父とあたしは並んで立つ。
あたしの右手には、父が亡くなった母に贈った青いサファイアの婚約指輪。
知っている?
『Something Blue』
西洋では何か花嫁が青い物を身に着けると幸せになれる、
そんな言い伝えがあるらしいの。
父が隣から今日のあたしのキレイに祝福の言葉をかけてくれる。
「キレイになったな。早苗に見せたかったよ」
早苗とは、あたしの母。
あたしは、
ヒロの兄であるテルにも、見てほしかったよ。
礼拝堂の高い屋根よりも、高いところで、2人は見てくれているわ。
ナミの緊張が、あたしの背後から伝わってくる。
さぁ、結婚行進曲よ。
重い扉が開いて
あたしは、
父と一緒に赤いバージンロードを歩く。
5月のバラで彩られた、バージンロードの先に、振り返って背の高い
青い瞳をした、
あたしのダーリンが待っている。
ああ、ここに、青いものがあったじゃない?
きっと幸せになるわ。
そうして、あたしたちは神様に誓うの。
「互いに愛し合うこと」
どんな時も
愛すると誓い合うの。


