帰ってきたナミは、泣いていた。 「どしたの、花崎さん」 あたしや塚田よりも下川くんがナミの側に走り寄る。 「あたしの王子様にはなれないって、言われたの」 何を……ヒロは。 「他に何か言っていたの?」 あたしの問いは震えていたと思う。 「……好きなひとがいるんだって」 塚田よ。 安心した顔を見せないで。 頭にくるから。 ナミは保健室のベッドに座った。 「なんか……さみしいけど、ホッとしたの……」 そうしたら、涙が出てきたの。 ナミは笑う。