「兄さんが死んで5年、僕には長かったよ」


突き飛ばされて、床に手を付きながら、ヒロは微笑した。




「テルの思い出は、僕しかぬりかえられないよ」


「ヒロ……」



可愛いヒロはもう、いない。




あたしの知っているヒロじゃない男が、そこに立っていた。