「兄さんが死んで、ゆりさんは僕の前から消えてしまった……」 そう、テルが死んだ時。 あたしは瀬名家のことを忘れた。テルと一緒に、記憶のなかに閉じ込めた。 ふと、出てきて あたしを悩まさないように……。 「ズルいのは、ゆりさんだ。テルが死んだら僕には会いに来てくれなかった」 あたしは、ヒロの腕の中でもがく。 ヒロは、ますます力を強めた。 「ナミは僕がいなくてもキレイになるよ。でも…僕にはゆりさんが必要だ」