鈴城篤は私の元カレ。
さんざんな別れ方をした。
そして、ぼろぼろになった私を救ってくれたのが咲。
私は咲の優しさに甘え続けている。
それがイケないことだと分かっていても私は咲を手放すことはできない。
私をみつめている咲は髪を春風と戯れさせるように揺らしていた。
前髪を斜めに流し、右サイドの髪は耳にかけている。
サラサラの髪は明るいブラウン。
切れ長な目は透き通った瞳が冷たい印象など決して与えない。
細長い体型なわりに適度に筋肉がついている。
咲はモテる。
外見だけでも他の男など比較対照にならないほど整っているのに、日だまりのような性格をした咲がモテないはずがなかった。
入学当初、私と麻乃は姉さん方の呼び出しに手を焼いた。
しかしいつの間にかそれもなくなった。
きっと姉さん方も私たちから恋の臭いがしないから止めたんだろう。
女は恋という…
愛というものに…
とても敏感だから。

