ゆっくりと口角をあげ笑顔を作ってから話した。
「麻乃…
オハヨ……」
麻乃は天使のような微笑みを浮かべて私の腕を引く。
これが私の日常。
「麗ちゃん
急がないと始業式に遅刻だよ!!」
私は高2になった。
今日は始業式。
中3のときは高校なんて行かないと思ってたのに、咲と麻乃のにお陰でなんとか進級してきた。
「麗ちゃん聞いてた?
遅刻しちゃうよ?!」
焦った顔の麻乃に苦笑いして答える。
「ごめん
ちゃんと聞いてたよ…
始業式は行かないよ
今日は風が気持ち良い」
私の答えを聞き、顔を曇らせた麻乃を見つめる。
「麗ちゃんがいなきゃ寂しい…」
下唇を噛み締め純真な瞳で訴える麻乃。
麻乃は純粋だ。
麻乃といると世の中が汚れていることを忘れてしまう。
それはきっと、麻乃に汚れさえ包み込んでしまう優しさがあるから。
麻乃は私の汚れを包み込んでくれるだろう。
でも私の過ちは麻乃の心を深くえぐる。
いゃ本当は怖いだけ…
麻乃が離れてしまうのが
私にはまだ汚れを打ち明ける勇気がない。

