佐藤教授は愛想の良い笑みを浮かべて、西条に右手を差し出した。

「かねてよりご高名は伺っております。私が責任を持って担当致しますので、どうぞ安心してお任せ下さい」

西条も手を差し出して、佐藤教授の手をしっかり握ると、短く返答した。

「どうぞ宜しくお願い致します」

検査は簡単な質疑応答から始まり、やがて本格的な臨床検査まで行われた。
一通りの検査が終わると、西条は待合室で待機していたが、暫くして佐藤教授が姿を現すと、慌てて椅子から立ち上がった。

「あぁこれはこれは。わざわざお越し頂かなくても、お呼び下さればこちらから出向きましたものを」

これには佐藤教授も、慌てて手を振った。

「何を仰いますか。西条教授をお呼び立てするなんて、そんな恐れ多い」

西条は気恥ずかしそうに頭を掻くと、軽く一礼をした。