山西は西条が口を開くより先に話を切り出した。

「教授。先日お話しした検査の準備が整いました。出来れば食事前にお越し頂きたいのですが」

西条は呆気に取られたような口調で応えた。

「なに?今これからかね。それはまた随分と急な話じゃないか」

山西はそんな西条の驚きの声にも、特に動じる様子は無かった。

「えぇ、こう言った問題は早く解決するに越した事はありませんから。教授も心配の種は早めに摘んでおきたいでしょう?」

「そうだな…」

西条は呟くように言葉を洩らした。

「分かった。すぐに準備して向かおう」

山西は一つ頷くと、先に行ってますからと言い残し、研究室から出て行った。

準備とは言っても、研究所内での制服と言える白衣を脱ぎ、上着を羽織るだけだ。
西条も程なく研究室を後にした。