「あ、あの…」
私の声にピクリと反応して振り向きティーカップを差し出してきた。
「滋養に聞くと言われているクルトのお茶です。」
「え…あ、はぁ…」
しぶしぶ受け取ると男性はニッコリと微笑み姿勢を整えてから右手は後ろに左手はお腹辺りに当て頭を下げた。
突然の事にお茶を噴出しそうになった時、男性のアルト声が部屋に響いた。
「この度、我が主リーヴァ・テレット・フェルアからあなたのお世話を申し付かりました、執事のケティア・ノルディックと申します。ケティアとお呼びください。」
下げていた頭を持ち上げニッコリと微笑む執事のケティアさん。
ちょっとまって…
「早苗 琴葉です。琴葉でいいです。」
お世話?主?執事?
それにやはり名前も見た目も外人で、でも日本語が通じてて…
ダメだ…脳がついて行かない。
「あ、あの…」
「はい、なんでしょうか。」
「ここはどこなんですか?」
その質問に彼は目を丸くして
「リーヴァ・テレット・フェルアと聞けば分かると思ったのですが、どうやら混乱されているようですね。ここはテレット国の東に位置する王宮ですよ。」
「おう、きゅう?てれっと?」
そんな国も聞いたことが無い。
王宮なんて日本には無い。
