自分の家ではないので勝手に返事をしていいものだろうか。
でも、誰かに会わなければ帰る事だってできない。
「は、は…い」
蚊の鳴くような小さな声だったにも関わらず、聞こえたのだろうか、「失礼します」とアルトな声が聞こえて
扉は開かれた。
そうして入ってきたのは紺色の腰まである長い髪を後ろで1つに纏めた男性。
前髪は片方で伸ばされていて片手で起用にお盆を持っていいる。
なんとも品の良さそうな人だ。
「お目覚めでしたか。」
そういって男性はベッドに正座をする自分の方にやってきてサイドテーブルに
お盆を置くと美しい動作でお茶らしき物をティーカップに淹れる。
