「なんの騒ぎだい?扉も開けっ放しで。執務中に騒がれて仕事がはかどらないじゃないか。」
そういって扉に佇むのはわが主…いやテレット国第1王子リーヴァだ。
王家だけにしか生まれてこない黒い髪に赤い瞳。
そしてコトハ様を見つけて連れてきた張本人。
「リーヴァ…」
リーヴァはゆっくり優雅にベッドに眠る少女に歩み寄る。
徐に頭をゆっくりなでて此方を向くと
「執務中ってのは嘘だけど気になって来てみればお前達が騒いでるからね。で、どうしたの?」
表面上は穏やかだが、瞳の奥は研ぎ澄まされていて、何もかもが見透かされる赤い瞳。
「まさか…この子に何かしたのかい?」
周りの空気が凍る。
(やばい…!)
私が危険を察知した瞬間、黙っていたテルトはすかさず地面に這いつくばり頭を垂れた。
「すんっません!!彼女がもしかしたら異世界の人間かもしれないと聞きましたのであの呪を使いました…」
